-黄金の庭に告ぐ-
<第一部>1話:僕たちは駆け落ちをした

04.薄い闇、腐った国、あるいは勧誘とその撃退法



 恋人の手を取ったあの日まで、フィランの視界は薄闇に包まれていた。
 広大な帝国は、一人の若者の目に映るにはあまりに広い。こらしてもこらしても、茫漠たる世には薄い墨がかかって果てがない。
 血と汗に塗れた戦場も。眩暈がするような怒号と剣戟の音も。かりそめの温もりも、酒の酩酊も。全てを生きるためと割り切ってしまった己の様に吐き気を覚え、心の底から嫌悪した。
 自立せよ、と有象無象の影たちがフィランの耳元に囁く。国を護る力を持て。人を率いる力を持て。この国の市民であることを誇りとし、絶えず家族を護る良き民であれ。
 富めよ栄えよ。
 光よあれ。
 神々の祝福を。
 その剣に誇りを。

 誇り、とフィランは冷笑と共にその音列を喉から押し出す。大嫌いな言葉だ。憎悪しているといっても良い。
 国の為に生きることが喜びだった時もあった。どんな労苦も、輝かしい未来を想えば耐えることが出来た。空は青く、地は広い。鳥は伸びやかに翼を広げ、人は国の賛歌を歌う。無限の可能性がそこにあり、だからこそ道は輝いているものだと信じていた。
 しかしある時を境に、全てが紙より脆いまやかしであることに気付いてしまった。

 黄金の庭という都市の別称も、人々の生み出した虚像に違いない。かつては神の恩寵が降り注いだと云われる自立都市。だがその市民の全てが幸福であった筈がないのだ。地を這いながら生きる奴隷。暗殺の刃に怯える貴族。有力者どもで互いを喰らい、領地を増やそうと戦争に明け暮れた挙句、力を失って帝国の前に屈するしかなかった愚かな街、それがヴェルスであった。美しく謳われたのは、都市の一部を見た詩人の気まぐれに過ぎない。
 現実に黄金の庭の真っ只中でたった今、黒い影たちが血に酔い、鋼の刃を振り下ろすように。
『この国も同じだ』
 他国を吸い込んでみるみる膨れ上がった醜い帝国。この世の楽園と賛歌される傍らで一体どれほどの血と涙が流されたことだろう。
 だからフィランは夢を見ない。希望に縋らない。つかの間の平穏に身を預けたりはしない。
『こんな腐った国で』
 背後に命を賭けて護りたいと願った人がいる。何もかもが薄い闇に塗れた彼の人生で、たった一人の確かな人だ。
 ティレ。身の破滅に瀕した彼女を救うため、フィランは全てを捨てたのだ。
『死んでたまるか』
 血を吐くような想いでフィランは恋人の指を引く。ここではない何処かへ。望むことは多くない。ただ、彼女が心静かに暮らせる場所ならば何処でも良い。
 走れ。走れ。走れ!
「――っ」
 血の鮮烈な匂いが眩暈を呼び起こす。獣性が鎌首をもたげる。全身が心臓になったように波打ち、もっと猛れと叫ぶ。邪魔する者に容赦はするな。斬り付け、嬲り殺し、踏み越えて行けと。
 ただ、一人の人を守りたいだけなのに――。
 沸騰する全身の血流を苦心して抑えながら、フィランは身を捩った。体はほぼ無意識に動いている。見開かれた瞳が裏口に続く奥の扉を見つけ、恋人の腰を掻き抱くとそこに飛び込む。背中に黒い冷気がまとわりついている。死がとても近くにあることを肌が敏感に察知する。
「フィラン!!」
 叫び声は警鐘の響き。足が勝手に壁を蹴り、横に飛ぶ。短剣が耳の脇をすり抜けていく。
『ああ』
 フィランは思う。
 一体何処まで走れば良いのだろうか。
 この薄暗い道を一体、何処まで。
 何処まで――。
「さっさと行けっ」
 はっとしてフィランは顔をあげた。ぶれた空間が突如鮮明さを取り戻す。振り返ると、倒した机を楯代わりにしたジャドの後姿があった。小麦粉を被って白くなった彼は、剣を片手にニヤリと笑った。
「これで貸しはチャラだ。死んだらただじゃおかねぇぞコラ」
「……」
 息が詰まって、フィランは鷲のように髪を逆立てた剣士を見つめた。
『どうして』
 四肢が炎のように熱いのに、指先だけが妙に冷たい。
『別にあなたの為に助けたわけでもないのに』
「ありがとう」
 唇だけでそう紡ぎ、全力で駆け出した。腰を抜かした調理場の女を横目に狭い通路を抜け、裏口に至る。ティレは小さな体で必死についてくる。
 そこに広がっていた光景を見て、フィランは絶句した。


 ***


 偉丈夫が立っていた。
「……え?」
 流石に目を剥いて立ち尽くしてしまう。身を低くして走ってきたものだから、逆光を被って立ちはだかるその男はまるで巨像のように映った。
 広い肩から続く首筋に銀の留め金で上衣を束ねた偉丈夫は、一目で武人と分かる威風をその身に纏う。若さを失って尚見るものを圧倒するのは、その瞳に心の底まで射抜くような眼光があるためだ。
 櫛が通った灰色の髪をかきあげた彼は、傍に線の細い奴隷を従わせ、含みのある笑みを以ってフィランを迎えた。
 勢いを殺されたフィランは、辺りの様子に気付いて息を呑む。偉丈夫の配下らしき二人が、地に伸びた者――恐らくはフィランを狙う追跡者を縄で縛り上げているところだった。
『何が起きている』
 目の前の男には面識がない。助けられる謂れはない筈だ。
『まずい』
 狭い裏口は、得体の知れない者どもによって完全に固められてしまっている。再び中に入るわけにも行かず、フィランは唇を噛み締めて男を見上げる。男は呵々と笑って目を細めた。
「良い顔だ」
 親父みたいな歳の男に褒められたって嬉しくないとフィランは思ったが、付け入る隙を見出すことは叶わなかった。この男、悠然と立っている割に妙な気迫がある。
「あなた、誰です」
 問いに答えたのは、男に従っている奴隷であった。
「ヴェルスに名高きベルナーデ家当主、ヴェギルグランス・アウル・ベルナーデ様であらせられます」
 フィランはきょとんと目を瞬いた。その名に覚えがあったのである。ヴェルスのベルナーデ、――胸の奥底が焼けるように凍りつく。それは、帝国軍にいた折に聞いた名だ。湧き上がる感情を唾と共に嚥下し、そっと口をもたげる。
「……ベルナーデ兄弟の弟君ですか」
「はは、セーヴェ。聞いたか。有名人だぞ私は」
「総司令官の妻と不倫して北方に左遷されたっていう、あの」
 ぐっ、とギルグランスの表情がひきつった。
「よくご存知で」
 軽く受け流す隣の奴隷は涼しい顔である。
「しかし僕に何の用です。急いでいるんです、出来ればどいてもらいたいのですが」
 言いながらフィランは後ろ手に扉を閉めた。後ろから追っ手が来ているのである。気休めにしかならないが、少しでも時間を稼がなければならない。
 場を取り成すように咳払いをしたギルグランスは、つと視線をフィランから外した。はっとしてフィランも振り向くが、もう遅い。慌てて走っている内に、ティレの外衣がずれて顔が露になっていたのである。この場にあって尚茫洋としているティレの姿に、ギルグランスは薄く笑った。
「可愛らしい。まるで花を戴く女神の悪戯だ。命に代えても護りたかろう」
 からかうような口調に、フィランはむっとして顎を引いた。
「命には代えません。僕が死んだら誰がこの子を護るんです。だから僕は死にません」
 ふむ、と頷いたギルグランスは、腰に手をやって告げる。
「貴様。私に仕えろ」
「は?」
「耳に綿でも詰めているのか? 私に恭順を誓えば力を貸してやらんこともないと言っている」
「……あの、勧誘でしたら間に合ってますので」
「貴様な」
 本気で寒気を覚えたように青ざめるフィランを見下ろし、ギルグランスは目を細めた。
「追われているのだろう。このままでは娘を護れぬぞ」
 顔には出さなかったが、ぎくりとしたのは事実だった。酒場ではとっさの機転で対処出来たが、まだ都市に来て浅いフィランである。今後も同様の結果に持ち込めるかは分からない。そもそも、追っ手がこんなに近くまで来ていたことが予想外だったのだ。
 けれど、とフィランは歯を食い縛り、輝く黄金の瞳で気高い武人を見上げた。
「護ってみせます。あなたの力を借りる必要もないし、力を貸すこともない。誇りという名の偽りを弄んで幻影ばかりを振りまく血塗られた人間、それが貴族だ。そんな腐った連中に仕えるなんて、天地がひっくり返ろうと御免です」
 ギルグランスはその目を見て、吹き出すように低く笑う。
「では行くが良い。何処まで逃げられるか見物だな?」
 ゆったりとした足取りで道をあけられ、フィランは苛立ちを隠すことが出来ずに歯を食い縛った。だがこの妙な貴族との余計な問答に時間を割いている場合ではない。ティレの手を引いて、フィランは駆け出した。
 がつんと後頭部に衝撃が走った。
「――?」
 何が起きたのか認識する前に、体から力が抜けてしまう。誰かに攻撃を加えられたのだ。誰に? 決まっているではないか!
 視界が熱を伴ってみるみる朱に染まる。背後を振り返ろうとしたが、痺れた体ではそれも適わなかった。
 急激に意識が狭まり、無に等しいものになる。上体が前に流れるのを止められず、歯がゆさに声が漏れた。陽の当たる場所がすぐ近くにあるというのに。
「く、そ……っ」
 明滅する視界が急激に暗くなり、フィランの体は地に伏した。

「そら。もう逃げられなかった」
 上衣の留め金を投げつけたギルグランスが口の端を禍々しく吊り上げる。用を成さなくなった上衣を呆れ顔の奴隷に渡し、彼は倒れた恋人を前に佇む娘に顔を向けた。娘は意識を失った恋人に縋りつくこともなく、ただ呆然とその様を見下ろしている。
「うろたえるな、と言う必要もなさそうだな」
「……」
 ティレは小動物めいた眼差しを恋人に注ぐだけだ。まるで何故自分がここにいるのか不思議でならないといったように。
 ギルグランスは一度怪訝そうに眉をあげたが、鼻から息を抜くと口早に指示を下した。
「この者たちを隠せ」
「はーい」
 配下の一人が素早く進み寄り、フィランを抱えあげて樽の陰に移動させる。奴隷のセーヴェは主人に小声で尋ねた。
「どうするのです」
「まあ見ておれ」
 悠々と腕を組むギルグランスに、セーヴェは一瞬『また始まったよ』と顔をひきつらせたが、それを微笑みで覆って何も言わなかった。この主人が泥遊びに興じる歳の頃から仕え続けた彼である。何を言っても無駄だと十分に分かっているのだ。
「君もそこに隠れてて」
 フィランの隣を指して配下が言うと、ティレは無言で従った。少女の矮躯が隠れたのと裏口の扉が蹴破られたのはほぼ同時であった。
 飛び出してきた旅人風の男たちは、先ほどのフィランと全く同じ様子で瞠目する。そりゃこんな場末の酒場の裏口にこんな偉丈夫が配下を従って立っていたら誰でもビビるだろうが。
 だが彼らが口火を切る前に、ギルグランスは突如として目をクワッと見開いた。
「貴様ら、なんということをしてくれた!」
 しん、と場が静まり返る。屈強の殺し屋たちすら動きを止める厳しい怒声は、数多の戦場を駆け抜けた武人だからこそ持ちえるものだ。未だ衰えを知らぬ眼を爛々と輝かせ、ギルグランスは倒れた殺し屋を指差した。
「こやつらは貴様らの仲間だろう? お陰で逃がしてしまったではないか! あの男、八つ裂きにしてやろうと思っていたのに」
「な、何者だお前」
「何者? この都市で私を知らぬとは良い度胸だ。貴様らから先に裂いてやろうか」
 ギラリと狂暴な笑みが口角を彩る。四人の男たちは地に昏倒した仲間たちを見て、それぞれ顔を見合わせた。彼らとて何が起きているのか分からないのである。すると彼らの長らしき男が進み出て、軽く礼をした。殺人を生業とする彼らとて、余計な殺しは好むところではない。無駄な揉め事を嫌ったように、慇懃な口調で話し出す。
「失礼した。高貴な身分であるとお見受けするが、あなたはここから出ていった若者を追っていたのか?」
「ふん」
 腕を組んだギルグラスは腹立たしげに眉を吊り上げた。
「我が配下が昨日あの男に助けられてな。礼をしようと宴に招待したのだが、あろうことに奴は盗みを働いて逃げおった! 歳長けき女神メデアの名にかけてこの不正を許すまいと朝から追っていたのだ」
 彼に付き添う配下も奴隷も何も言わなかった。内心で『よくもまあすらすらと』とは思っていたが。
「ではこの有様は?」
 死屍累々といった様子で伸びている仲間を見て殺し屋が尋ねると、ギルグランスは牙を剥くように答えた。
「奴を捕らえようとここを通ったら襲いかかってきおった。そうこうしている内にあ奴を逃がしてしまったのだ」
「……だがここまでしなくとも」
「ふざけるな。この私に歯向かうなど、それだけで万死に値する」
 んな無茶な、と場の誰もが思ったが、状況的に飲み込まざるを得なかった。
 殺し屋の長は首を振って息を抜き、懐から片手に乗るほどの巾着を取って差し出した。ギルグランスが目配せすると、奴隷のセーヴェがそれを無言で受け取る。
「これで手を引き、金輪際この件については忘れて下さいますよう。あの若者は我らの獲物です」
「ほう。結構な額だな? あの若者は何をしでかしたのだ」
 巾着の大きさを見て片眉を吊り上げたギルグランスに、殺し屋の長は無表情で答えた。その顔には、人の血を啜って生きる者特有の仄暗さがある。
「詮索はご容赦を。内密に運ばねばならぬことゆえ」
 ギルグランスは暫く影のような男を眺めていたが、薄く笑うと視線を横に流した。
「そやつらの身柄を渡してやれ」
 地に伏した者たちを油断なく監視していた配下の男がつと顔をあげ、やれやれといった様子で縄を切ってやる。すると殺し屋の二人が出て行ってそれぞれ倒れた男を担ぎ上げた。殺伐とした職業でも仲間意識はあるらしい。
「感謝する」
「ああ、そういえば」
 背を向けかけた殺し屋の長は、ギルグランスのぼやきに足を止めた。
「あの若者、連れの女を我が屋敷に残していきおった。奴隷だろうが、どうしたものか」
「……女を置いていったのか?」
 さりげない問いかけだが、視線には刃のような鋭さがある。対するギルグランスは弱った様子で顎をさすった。
「仕方ない、うちで引き取るか。なあセーヴェ」
「結構ではないでしょうか。女たちが厨房の人手が足りないと申しておりました」
「ふむ。では引き上げるか。そうだ、厩に寄ろう。レティオの馬は良いものが見つかっただろうか」
 殺し屋たちはやや戸惑った様子であったが、雑談に入った貴族と奴隷に背を向けて去っていく。彼らの気配が完全に消えた後、ギルグランスはニヤリ、としか形容しようのない笑みを浮かべた。
「かかったな。奴らめ、やはり娘が目当てか」
「どうするのです。下手をすれば屋敷が襲撃されますよ」
 先ほどはとっさに口裏を合わせてやった奴隷のセーヴェが眉を潜めて主人に苦言を申し立てるが、当人は気楽なものだった。
「うむ、では早めに戻るとするか。奴らはどれほどよこしてきた?」
「銀貨が二百枚ほど」
「舐められたものだな。私の口がその程度で閉まるとでも?」
 ギルグランスは髪をかきあげ、やれやれと首を振る。
「まあ良い。店の修復に使ってやれ――うん?」
 ぐるりと視線を回したギルグランスの目に映ったのは、腹を庇いながら出てくるジャドの姿だった。殺し屋たちとやりあったせいかあちこちに切り傷や殴られた跡が見える上、小麦粉を被って散々な成りだ。
「あぁくそ。四対一は流石に無理だっつぅの……ってオヤジじゃねえか? あんでここにいんだよ」
「……小麦粉まみれの人間に言われたくないな」
「るせーよ。んで、ここを女連れの男が通ってかなかったか?」
「うむ。そこで伸びておるぞ」
「は?」
 口の端を曲げたジャドは、仲間であり友人である配下たちに顔で助けを求めるが、彼らも首を振るだけだ。ギルグランスだけが上機嫌に歩き出す。ジャドは倒れたフィランと寄り添うティレを見つけて悲鳴のように叫んだ。
「何だよこれは!?」
「そういうわけだからついてこい。面白いぞ、首根を捕まえて飼い馴らしてやる」
 にこやかに告げられては、奴隷のセーヴェも虚空に向けて微笑むしかなかった。
「お、おいオヤジ。まさかフィランを囲うつもりか?」
「何か文句でもあるのか」
「そんな見るからに訳ありの男を」
「訳あり? 結構だ。別に突如奇声をあげて暴れまわるわけでもなかろう。ただの人間を欲しがって何が悪い」
「い、いや、そうだけどな」
 頭をかきながらジャドは目を眇める。
「そいつ、ここに留まるつもりなんてねぇぜ。昨日もマダム・クレーゼの誘いを断りやがった。今更乗るわけがねぇよ」
「どうかな?」
 湖を撫でて届く初夏の風を受けてギルグランスは心地良さそうに表情を緩めた。悠然とした振る舞いは裏道で尚その威厳を失わず、口調には謳うような響きがある。
「鞘無き剣は朽ちるのが定め。朽ちかけたそやつは己が鞘を探しておる」
 今にも崩れ落ちそうな心を抱え、駆り立てられるように貴族への嫌悪を口にした若者の表情を思い出し、ギルグランスはくすりと笑った。
「――良い目をしている。失うには惜しい」
 長衣の裾を優雅にさばきながら前へ進むギルグランスに、彼の配下たちはそれぞれ目線を交わしたが、呆れたように頷きあうと傷ついた恋人たちを伴って主人に追随した。主人が決めたことなら彼らに覆す術はないのである。それに何だかんだ文句は言うが、彼らは唯一の主人の判断を心から信じていた。彼らとてその目に適って拾われた身なのだから。
『確かに人手不足だしな』
 ジャドは主人の意に始めは驚いたものの、悪くないかとも思い始めていた。ここ数年でにわかに活気だった都市ヴェルスには、繁栄と共に無頼の連中も多く流れ込んできた。毎日のように起きる事件に駆り出される身としては、あの槍使いの腕があれば心強いことこの上ない。妙な連中に追われているようだが、こんな辺境の都市では贅沢など言っていられないのである。
「引き上げるぞ」
 しかしこの主人はどうやってあの若者を口説き落とすのだろうか。それを見るのもある意味面白い、とジャドは薄く笑って剣の柄を軽く弾いた。




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