「こんな腐った国で、死んでたまるか」

「わたし、何も知らなかった」

「男は強く、女は強かにあれ。この地が黄金の庭であり続けるよう」


-黄金の庭に告ぐ 人物紹介-



フィラン
恋人を連れて豊穣の都ヴェルスに流れ着い(てしまっ)た本編の主人公である。見た目こそ絵に描いたような好青年だが、その裏で超凡的に図太い神経を所持。少年期にグレた経験がある為か、壮絶な勢いでヴェルスの風土に染まっていく。恋人のことになると狂暴性が倍増するため、取り扱いには注意が必要。また、無類の風呂好きである。

ティレ
フィランと共に故郷を逃げ出した物静かな娘。無口だが行動には突拍子がなく、恋人のフィランでさえ時に戦慄を隠せないほどである。そんなフィランには絶対的な信頼をおいており、彼の前では人形のような従順さを見せる。生命の危機を前にしようとぼんやりしているので、周囲からは懸念の声もあがっている。

ジャド
島に住む寂しき独身男。口が悪く気性も荒いが、根は優しく面倒見が良い。このような人間が人生において苦労するのは火を見るより明らかなことで、彼にも御多分に漏れない運命が待っていることと思われる。剣術はそこそこの腕だが、その俊足ぶりだけは他の追随を許さない(逃げ足が速いともいう)。帝国軍に在籍した過去があるらしい。

オーヴィン
泣く子も黙る屈強な体にのんびりとした気質を宿した元盗賊。運動は人並み、魔術がちょっと使える程度の中々に中途半端な力量ではあるが、とっさの機転と手先の器用さで地味に役立っている。猫好きで家に黒猫を飼っているが、あまり懐かれていないようで懊悩に暮れている。

エル
元々奴隷剣闘士であった彼は、フィランと同じように恋人と駆け落ちをして島に辿り着いた。陽気に振舞う快楽主義者で、ちょっとこいつ大丈夫かと思われるくらいに普段から上機嫌。食べることだけはあまり好きでないらしい。美しい女性をこよなく愛するため、妻のカリィにフライパンで殴られる日も少なくないとか。

ギルグランス
豊穣の都ヴェルスの名門ベルナーデ家当主にして都市議会の議員、果ては神祇官長まで勤めるスーパーオヤジ。数年前までは軍人として名を馳せ、故郷に戻ってからもその貫禄と手腕と女癖の悪さで都市中に悪名を轟かしている。最近は甥の行く末と額の生え際を気にしている。

レティオ
ギルグランスの甥。ちょっと背伸びがしたいお年頃の純情少年である。叔父がその将来を憂うほどに寡黙で無愛想。ただし実際は顔にでないだけで、内心には人並みに喜怒哀楽があるようだ。敬愛する叔父の力になれるよう日夜努力している。

マリル
素直で元気一杯な少女は、医師見習いとしてミモルザの元で働いている。聡く人を見るため油断ならないとする見解もあるが、それを差し引いてもそこにいるだけで太陽が降り注ぐような彼女の姿には心惹かれる者が多い。島にやってきたティレに色々なことを教えてくれる。

ミモルザ
島に住むただ一人の医師。荒野を吹きすさぶ疾風もかくや、研ぎ澄まされた刃の切っ先のような女性である。傷を治しに行った筈が傷を増やして帰ってきた患者は数知れない。垣間見えるはずが全く見えないその優しさについては未知数である。

クレーゼ
彼女の持つ島長の妻という肩書きは便宜上のもの。実際は灯台島の主として采配を振るい、民から畏敬を集める品格高き老女である。全ての者に大きく開けた優しさと、島の主として巌のように構える厳しさの両方を持ち合わせ、ギルグランスからの信頼も厚い。夫に対しては若干スパルタ気味。

クロイス
妖精(青)。穏健で知られる妖精族の中でも相当の変わり者で、人が慌てる様を見るのが何よりも楽しいという迷惑極まりない性癖を抱えて人の世を渡り歩く。しかしながら、島民と関わるようになってからは様々な苦難に出会う羽目になるのであった。彼の輝かしい前途に期待したい。

ルシェト
妖精(緑)。クロイスと共に人の世を渡り歩く彼の言動は何処か薄暗く投げやりだ。何事にも斜に構えた発言をするため、クロイスに辟易されることも少なくない。島民たちはそんな妖精の鬱屈を慮る……ことは特になく、一部の人間は名前すら覚えようとしないものだから、彼も憂鬱になる一方なのである。


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